アキレス腱の痛み

笠原先生による解説

【症状】アキレス腱部の痛み

主にアキレス腱部が痛む場合、３つに分類されます。

1.アキレス腱炎
長時間歩いた後や、激しいスポーツの後にアキレス腱の中間部の一部が腫れ、痛みを生じる状態をいいます。
また、足関節（足首）を背屈（上に反らす）すると更に痛みが増すという特徴があります。

2.アキレス腱周囲炎
立ち仕事などで、すねやふくらはぎの筋肉が強く緊張していて、日常的にアキレス腱が引っ張られた状態になっていると起こりやすい。かかと（踵骨）近くのアキレス腱付着部が炎症を起こし、かかとが痛くなったり、骨自体がゴツゴツと出っ張ったような症状になってしまいます。

3.アキレス腱滑液包炎
上記の「アキレス腱周囲炎」と同時に、クツと踵がこすれ、内部の滑液包が溜まって痛みを発する症状です。

【原因】アキレス腱部の痛み

1.アキレス腱炎と2. アキレス腱周囲炎の原因
　浮き指で、歩行時やスポーツの際に指先をあげていたり、日頃から無意識に指上げ歩きをすることで上部のアキレス腱部に負担が集中してしまったため。
　また、重心がかかとに片寄っている場合に、上部の腰を痛めたことで坐骨神経の働きが低下し、すねやふくらはぎの筋肉が疲労し固くなってしまったことも原因です。

3.アキレス腱滑液包炎の原因
浮き指による無意識な指上げ歩きで、かかとに負担がかかるのと同時に、サイズの合わないクツが圧迫を引き起こし、アキレス腱付着部が炎症を起こした結果です。

【改善策】アキレス腱部の痛み

・軽い場合は触診で損傷の種類とその程度を確認します。またアキレス腱断裂の約80％に慢性的な腰痛があり坐骨神経を痛めています。全断裂の場合は、外科手術の方が早く改善し社会復帰も早くなります。
・断裂以外はかかとにクッション部材を入れ、適量のサラシ包帯を用いて、中足関節を中心に幅広く巻き、3ヶ月ほど続けます。負担度（破壊力）より安静度（回復力）が上回る固定が必要なのです。

施術で治す場合

改善策としては　(1) 下肢の血行不良の改善　(2) かかと重心の解消　この2点が必須です。
施術では低周波電気（足裏）や専用マッサージ器（フットバイター）・手技により足裏から緊張をほぐし、全身の血行を促します。特に、悪い歩き方により緊張したアキレス腱を、押圧することですね・ふくらはぎの緊張をほぐし、足先から心臓へ血液を送り返すポンプ作用を高めて血行促進を行います。

症状が軽い場合は、痛みの無い場合のテーピング法で重心を正しい位置に戻し、3点歩行を促してかかとにかかる負担を軽減させます。また、足首が不安定な場合は、痛みの有る場合のテーピングの後にサラシ包帯を使い足首を無重力状態に近づけ、かかとにかかる負担を軽減させていきます。
およそ3～4ヶ月程で改善が期待できます。症状がひどい場合は6ヶ月かかることもあります。